木うす職人 安曇野市堀金 小林 健男
『ケヤキ餅つき臼』
常念岳を眺める美しい安曇野の里
餅つき臼、きね(杵) 製造直販
小林木工所
長野県安曇野市堀金烏川3640-4
電話&FAX0263-72-2944
自然の木をいかに生かすか
うすづくり30年という小林健男さん宅の庭先でコツコツと木を彫る音が響く・・・。10月中旬から1月下旬にかけて、1年のうち、うすづくりで最も忙しい季節。もちつきを前に注文がどんどんさばかれる。県内では数多く製造しているのは私のところだけという小林さんはうすづくり2代目。26歳のときにサラリーマンから転身して、以来この道一筋。どっしりとした重みと、木のもつあたたかさが伝わるうすをつくる。使えば使うほどに材料が油じみて木の良さが出てくるのが特徴。もちろんそれでついたもちには格別の味わいがある。注文は県内はもちろん、県外、ときには、海外からも。
手づくりのよさがうけているようだ。そしてシーズン以外はケヤキ主体の注文木彫家具に追われる。
木の使い方が・もの・をつくる基本
小林さんが、それまで勤めていた製造工場を辞め、木工の道に入ったのは26歳の時だった。
「最初から最後まですべての工程を自分で考え、自分の手でつくるってことに何か魅力を感じましてね。師匠であった親父の仕事する姿を見ながら、その技をぬすみ覚えたもんですよ」
材料は樹齢150年前後のケヤキを主体にミズメと2種類。県内各地を歩きまわって大ケヤキのある場所を調べたり毎月開かれる市に出かけて適材を確保する。
「ケヤキなら何でもいいってわけにはいかないんですね。うすにはうすに適した材料がある。」
手に入れた木は、生のままだと虫がついたり割れてしまったりするので、1年半ほど丸太で寝かして乾燥させる。そして、輪切りにはじまり、大まかに削る粗彫りから仕上げまですべて手作業。1個つくるのに数日はかかる。口コミでひろがったうすの評判はよく、注文は県内はもちろん海外からも。
小林さん一人では製造がまにあわず安曇野に住む職人に頼み手を借りて集中的に作業がすすめられる。
平均的なうすは2升〜5升で、外径が45〜60センチ、深さ20センチ余り、高さ52センチほどの大きさ。これに、きねがつき特殊な大きさのものを除いて一式7〜15万円前後。材質や一本の木の使われる部分によって価格が変わる。
最近は、ホテルや学校、保育園などからも、もちつきにぜひ、と注文が多いそうだ。
最近、もちをつく家庭が多くなり、やはり、うすも家具などと同じく、使えば使うほど木の良さが出てくる。
言わば一度枯れてしまった木をもう一度、・うす・というかたちで花を咲かせるのが小林さん。それには何より木を大切にするという。
「それがものをつくる基本ですからね。基本を誤ったら、金のものを銅にしてしまう。その木を最大に生かしてあげてこそ、花が咲くわけです。うすになる木をほかのものにしてしまっては何にもならない。木が生きないわけですよ」
木を見て育った、幼い頃からの環境がその確かな目を養ったのだろう。そして、こよなく木を愛する気持ちが合わさって、すばらしいうすをつくりだす。それはどっしりとした重みがあり、あたたかさがある。「この仕事を選んだのは、やはり木が好きだから。年輪と木目を見ていると、その木がどんな環境で育ったものであろうか想像することができたり、長い歴史や木のもつあたたかさが伝わってくるようで、ほっと落ち着くんですよ」
それだけに、小林さんはできたひとつひとつのうすを大切に、お客さんに手渡す際アドバイスをわすれない。
「買っていただいて最初の1年間の保存というのが大切。」
と言う小林さんは、また、逆にお客さんからアドバイスを受けることもあるとか。
常に良いうすづくりを目ざす小林さんは実際使ってみた人のその意見を大切に、取り入れられるところは取り入れ、工夫をしてまた、ひとつのステップとする。それは直接注文を受ける小林さんならではの、お客さんとの素敵なコミュニケーションだ。
「みなさんここえ直接来られるでしょう。そうすると、堀金村は水がきれいで、空気がいいですね。と喜ばれますよ。仕事をしながら見る常念岳も素晴しく、ここに生まれてよかったって感じますね。」と言う小林さんは、愛するこの堀金村で「体力が続く限り頑張ります。」と目を輝かせる。☆餅と祭り
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