通信紙

こちら“ちくま”


2002年第5号
通巻30号
 
 発行人 新井俊雄
 編集人 大下京子 宮沢敬子
 発行所 筑摩工芸研究所
 〒399-0001 長野県松本市宮田8-22
 tel. 0263-26-6330 fax. 0263-26-6047

「支援費制度」?・2
 ─知ってることは力になる・24─

 立岩 真也(立命館大学政策科学部助教授)
「 “ちくま”にジャンルはない。ジャンル自体が“ちくま”である。」
 と誰かが言った。

 本多 正毅(日本財団 公益・福祉部)

ちくまの日記
編集後記

「支援費制度」?・2

─知ってることは力になる・24─


立岩 真也(立命館大学政策科学部助教授)

 今回は「支援費制度」の第2回目ということになるのですが、第1回を読んだとしても、何か月前に読んだことなど普通は忘れるのが当たり前ですから、まず少し復習。

 支援費制度とは、1)利用者が選んだ事業者(サービスの直接の提供者)に、そのサービス=事業に応じた支援費が国・自治体から支払われるという制度であること、2)利用者が選べるというところだけ見ればこれまでの措置制度より利用者・障害者の運動・主張に沿ったものであること、3)ただこれはあくまでかたちの変更であってサービス量の変化(拡大)ではないこと、そして4)選択したい事業者がいないことには話にならないこと、5)事業者になる要件が緩くなったのでもあるから、自分たち自身が、利用者にとって使い勝手のよい事業者になっていくという方向があること、等を書きました。

1)について補足。お金をサービスを使う本人が受け取る(そしてサービスの提供者に払う)余地も残されてはいますが、今度の制度では基本的には「代理受領方式」といって事業者が受け取るかたちになります。関係する法律の関係する箇所が変更されたのは今年になってからです。介護保険のときも具体的な肝心のところが直前まで決まりませんでしたが、今回も来年4月の実施を前にし、そしてこの秋からはサービス利用者への説明等が始まっているのに、まだ確定していない部分があります。書いている時点では、9月12日付の「支援費担当課長会議資料」が厚生労働省発の最新の情報ということになります。ただ、そこに書いてあることもこれから変わる可能性があります。


 次に制度の具体的なところについて少し。支援費制度には、施設でのサービスやデイ・ケア等も含まれますが、ここではいわゆる在宅の人の介助・介護だけ見ていくことにします。

 「身体介護」「家事援助」「移動介護」「日常生活支援」と4種類が立てられています。「身体介護」「家事援助」は、1時間あたりの単価にしても、介護保険のサービスとほぼ同じものです。「移動介護」はこれまでの「ガイドヘルプ」に対応するもので、これは(介護保険では高齢者は移動しないことになっているのでしょう)介護保険にはありません。そして「日常生活支援」という4つめのものが、各地の運動によって獲得されてきた「全身性障害者介護人派遣事業」に対応するものと考えてもらってよいでしょう。介護保険の発想・システムでは、長い時間介助者が利用者について必要に応じて介助するというかたちがそもそもありません。それでは在宅で長時間の介助を要する人、介助を使いながら様々な活動をしていこうという人にはどうしようもありません。だから、介護保険がそのまま高齢者でない障害者にもやってきたらどうしようという危機意識があって、ここ数年間、障害者の運動は国の動きを監視してきたのです。それで、これまでの実績と要求をふまえ、このタイプが4つめに置かれたということだと思います。なお、介護保険のサービスを受けている人でも、支援費制度のサービスを受けられる場合があるとされていることを付け加えておきます。

 ただ、「日常生活支援」は「身体介護」に比べると単価が低く設定され(1時間半で2630円)、また9月の資料では「身体介護」「家事援助」と「日常生活支援」とは併用できないとされています。「身体介護」+「家事援助」+「移動介護」という組み合わせをとるか、「日常生活支援」+「移動介護」の組み合わせをとるかどちらかにしてくれということです。このことをどう評価するか、また自治体のレベルでどちらの方に仕向けられそうか、それに対してどのように言っていくか、これは大切なところだと思います。

 自己負担が心配されていましたが、1月あたりの自己負担の上限が所得に応じて設定されました。給与が月30〜40万円の人なら月7200円が上限だそうです。最高の4万7800円/月というのはかなりの高額所得者になります。配偶者の所得(だから本当は自己負担ではなく家族負担です)は算定されますが、同居の親は負担の義務から外れます、つまり親の収入のあるなしは関係なくなります。

 さて、支援費制度に移行すれば、これら4種類のサービスがどこでも自動的に行われる、ということにはなりません。今までガイドヘルプ・サービスを行ってきた自治体や全身性障害者派遣事業があった自治体は、この制度の「移動介護」「日常生活支援」にそれを移していくでしょうが、ないところは新たに作らせなければなりません。ただ、こうやってメニューには入っているとなると、今までよりはすこし作らせやすくということはあるかと思います。これまでなかったところでは、これを機会に始めさせるように動く必要があります。

 次に5)、これらのサービスを提供する事業者になることについて。いままでは、サービス提供を自分たちでやろうと思っても、組織に対して行政からの資金提供がある東京都のようなところ以外では自前でやっていくしかありませんでした。事業委託を行政から受けなければ、ホームヘルプサービス等の公的なサービスの提供はできませんでした。公的なサービスを利用者が使いよいように使おうとすれば、実施主体である市町村か、あるいは市町村が指定する委託先に自分が選んだ介助者を登録するという「登録ヘルパー」というやり方がとられてきました。これは今までの制度のもとではよいやり方でしたが、自分たちが事業者になれるなら、その方がもっとよいわけです。

 支援費制度では事業者に入る支援費を介助者の人件費にあてる以外に事業の運営に関わる費用に使うことができます。それで組織、事務局を運営していくことができます。とくに儲けようなどと思わなければ、利用者数人で小さくやっていくというのもよいかもしれません。介護保険導入でぼつぼつNPO法人等のそういう事業者が出てきたのですが、それが高齢者対象に限らないものになります。利用者自身の側で作っていくこともできるのです。

 問題は事業所をやっていく上での要件です。今まで、とくに介護福祉士等の資格をもっていない人たちが介助にあたってきて、それでやってこれたのですが、これこれの資格をもつ人が何人以上いないといけないというように定められてしまうと事業所を作ってやっていけないということにもなります。介助者個人にしても、この制度のもとでの介助者になれないということになります。資格のある人でないと利用者が困るなら別ですが、実際にはそんなことはないなら、この条件がきついのは困ります。それで今回の制度の変更にあたっては、すでに登録などしてヘルパーをしてきた人は、支援費制度のもとでも介助者を続けていけるような措置がとられそうです(ということは、変更の前にヘルパーの登録をしておく必要があるということですが)。また、「日常生活支援」と「移動介護」だけを行う事業者(自立生活センターのような組織というイメージだと思います)について介護福祉士は不要ということになりそうです。さらに人員確保が困難な地域では「基準該当居宅支援事業所」という形態が認められ、市町村の首長が事業所として認めれば法人格も不要。ただ、NPO法人を取得すること自体はそう難しくないですから、まずはNPO法人をとるのは順当な手でしょう。

 自分たちで介助者を選ぶ、組織も作ってしまうというのは脳性マヒや脊髄損傷といったポピュラーな?障害をもつ人たちが開発してきたやり方ですが、これは、特例として介護保険に入れられたもののたいして役には立たなかった難病の人たち、例えば掛け値なしで24時間介助が必要な(しかし介護保険では2〜3時間分しかまかなえない)ALS(筋萎縮性側索硬化症)の人たちにとっても使えるもので、今回の変更は一つのチャンスになるはずです。というか、せっかくですからチャンスとして捉えましょうということです。何人かの患者、あるいはその家族が事業所を作ってしまう、医療行為だからと他ではやってくれなかった介助、例えば吸引にしても、家族はずっとそれをやってきたのですから、それを自分たちできちんと介助者に教えることもできるのです。

 とにかく今後を注意深くみて行ってほしいと思いますし、必要なところでは口をはさみ、変なものにならないように、使い勝手の悪いものにならないようにしなくてはなりません。1970年代の中頃東京で始まった介護人派遣事業は、わりあいおおざっぱな制度で、ある意味ルーズなところがあって、それで融通がきいて使いやすかった部分がありました。それが全国的な、(行政の側からみたときに)かたちとして整ったものになっていくときに、かえって使えないものになってしまう可能性もあるということです。

 とにかく行政の人が言ってくることをそのまま受け入れる必要はありません。今回の制度の変更にあたっても、中央官庁は中央官庁でわかっていなかった部分が多々あり、前回紹介した「全国障害者介護保障協議会」の人たち等、実際のところを知っている側から指摘を受けて、(もちろん役所として対応できる範囲で、ですが)手直しに応じてもきました。また、地方行政の側は地方行政の側で、担当部署、担当者の誤解・誤読から、できるはずのことをしなかったとか、そんなことがこれまで多々ありました。もちろん、すべての利用者がこの制度に精通するというのは無理なことですが、すくなくとも利用者の側に立ち、その権利を擁護しようとする人・組織は、情報に気をつけてほしいと思いますし、今度の制度から最大限の可能性を引き出すにはどんな方法があるか、またどんな実例があるか、気をつけて見ていってほしい、積極的に取り入れてほしい、行政に提案していってほしいと思います。

 同時に、この制度は、当人による選択・決定をうたっているのですから、サービスを利用する本人自身がその仕組みをわかっていた方がよいこともまたその通りです。例えば東京の立川市にある「自立生活センター立川」では支援費制度が利用者にやさしくわかるプログラムの開発という事業を委託され、いま作成中です。完成するまでにすこし時間がかかるはずですぐには使えないにせよ、こういうものも役に立つでしょう。できたらお知らせします。

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8月1日から建築工事が始まりました。

 ドキドキしながら完成を待つ日々ですが、皆様に途中を報告いたします。完成予定は12月下旬です。現在の仮設からの引越し等いろいろありますが、心待ちにしています。

9月中旬
まだコンクリートの土台作りで形にはなっていないけれど、旧“ちくま”よりとっても広い!!一体どの位の大きさになるでしょう…?作業室でキャッチボールができるくらいの広さです。

9月下旬
鉄骨が入りました!! 3階建ての“ちくま”です。西面の正面入口からの写真ですが、うーん想像よりもかなりの大きさに皆ビックリしています。あまりの大きさにポカーンと口を開けて見上げてしまいました。

10月下旬
着々と工事は進み、外壁もできてきました。やはり日々の進行状況をみていますと、実感が湧いてきます。作業現場の皆さんご苦労様です。安全第一に気を付けて頑張ってください。

法人化日記(7)

 ちくま」の建設をお受けいただいていた、株式会社ノグチが、倒産ということになり、保証業者である橋場建設株式会社に引き継がれ、工事は進んでいます。本当に厳しい経済状況が伝わる出来事でした。お世話になったノグチの皆さんに感謝申し上げます。建物完成までの日記の詳細は次号になります。お楽しみに。

 

「 “ちくま”にジャンルはない。
ジャンル自体が“ちくま”である。」
と誰かが言った。

本多 正毅

 同僚の青柳から紹介された野田さんからのTELはさわやかな声。長野という場所で“ちくま”がやろうとすることにはとても価値があるはず!という青柳のことばにOK!と応えた。

 初“ちくま“の日、そこにいたのは弓岡さん、野田さん、宮澤さんの、エース級3名だった。バラバラに個性的、あからさまに魅力的、にこやかに自由に彼らはたたずんでいた。弓岡先生はなぜかスキンヘッド。目は優しいけどすこしコワそうかも・・・。宮澤さんは、いわば「きれいなお姉さんは好きですか?」そして野田さんは、いわば「りりしいお姉さんはびびっちゃいますか?」的な雰囲気。なんて楽しそうな人たちだ。

 “障害種別”とかゴチャゴチャ言わない生き方で、新しい拠点をつくるのだ。タテ割りなんてシカトしたいんだぜ〜!という感覚に、おもむろに賛成した。“THE・施設”とかじゃない見た目と中味・存在のしかたで、世の中に対して発信してゆくのだ。しかもエコハウスなんだぜ〜!という趣旨(と、こちらで勝手に解釈)に、いきなり共鳴した。エコハウスには楽しそうな夢がいっぱい。太陽光発電パネルや雨水利用システム、屋根に苔をはやして温度調節(見た目もかわいい)、床下換気とか通風にも工夫をしていろいろ・・・「福祉の建物は福祉の建物らしく」というありがちをおもいっきり逸脱してしまおうという計画らしかった。建物それ自体がメッセージになるはず・・・。とにかく楽しそうな結末を思い描きながら、全力出すべし!と思った瞬間だった(そして半年後、多少の計画変更や査定減額もあったけど、無事“ちくま”との助成契約締結)。

 先月、NEWちくまの建設現場を見学しました。大きめの窓から差し込む光、3階から見渡せる景色は、きっと“ちくま”とみんなの、未来。どこまでも遠くまで見晴らせるさ!! ・・・ということで、多少のトラブルもあるかもしれませんが、全国“ちくま”ファンのためにも、年内の完成にむけて頑張ってください。壁塗りの時には作業をしに行きたいと思っていますのでよろしくお願いします。

(ほんだ まさたけ 日本財団 公益・福祉部 環境・福祉課)

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壁塗り隊! 焼き肉隊! なんでも手伝い隊!

この際何でも手伝って、体を思いっきり動かしたい方!
めったにない機会です!
完成した「ちくま」の3階部分の壁(薩摩霧島壁)をあなたの手で記念に塗ってみませんか?
それに伴うお手伝いなどなど・・楽しい1日を一緒に過ごしてみませんか?・・・。
体が空く方、ご希望の方はご一報下さい。
現在の予定としては12月下旬を予定しております。日程が決まり次第、ご希望の方にお知らせ致します。(手形が押せるかも!!)


ちくまの日記


8月10日

松南地区盆踊り大会でバザー。(ジャスコ南松本店にて)

21日

ルピナ中部工業(株)の市川社長、バースディ休暇を利用してのボランティアで来所。お手伝いくださいました。

9月3日

建築工程会議出席。

7日

田川小学校夏祭りでバザー。

8日

田川小学校夏祭りでバザー。

10日

建築工程会議出席。

13日

なんなんひろば文化祭実行委員会に出席。

14日

浅間温泉で開かれた「手仕事市」でバザー。

17日

建築工程会議出席。

19日

「ぴあねっと21」の『かかわり塾』に参加して、数名、軽井沢へ。作業所リーダーMも行ってしまったので、メンバーは寂しがっていました。

24日

建築工程会議出席。

26日

健康診断。先生方にもすっかりおなじみになりました。

16日

日本財団へ手続きのため上京。(野田、百瀬)

10月3日

ぴあねっと21主催の障害者スポーツ教室「電動車いすサッカー」に参加。体験コーナーでは12人中7人がちくまメンバーで、みんな生き生きとして楽しそうでした。

5日

なんなんひろば文化祭。(〜6日)

9日

日本財団の本多さん、建築中のちくま視察のため来所。(〜10日)

13日

世田谷「雑居まつり」に、スタッフ総出でバザー参加。東京(方面)在住の元ちくまファミリーも応援にかけつけてくれました。

18日

長野障害者自立支援センター「マイステップ」副所長の鈴木雅人さん来松。野田が参加する自立生活セミナー『地域で暮らすために〜障害者の移・職・住を考える』の打ち合わせ。

19日

共立学舎20周年記念式典に参加。(20日は同「ともだち祭」バザー)

24日

今年2回目の「ランチ会」inガスト。みんな朝からドキドキワクワク。総勢18名。ドリンクバーは大混雑。店員さんもやさしく嬉しい日でした。     
ろすまりん企画の望月社長、石けん特別注文の打ち合わせで来所。)

25日

長野県医薬品配置協議会様より、薬のご寄付をいただきました。

27日

ささらの里文化祭でバザー。

28日

松本養護学校より実習生受け入れ。

29日

ぴあねっと21の電動車いすサッカーに参加したときの写真を、取材にみえていた県社協様よりいただきました。

30日

ガイア総合研究所の日野さんご一行、石けん工場見学。

11月1日

作業所メンバーKちゃん、家族所用のため生活寮にショートステイ。

3日

松本市民祭でバザー。おもちゃ屋と玉こんにゃく屋です。

6日

長野県パン商工組合松筑支部様よりあんぱんのご寄付をいただきました。

8日

実習生の送別会を兼ねて「うどんパーティ」。おいしくて温かかったけど、実習生とのお別れが寂しくて、大泣き2人。また来てね、Mちゃん。

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お知らせ

今年は建物完成後に引越し、施設開所の準備等があり、残念ながら恒例の忘年会を開催いたしませんが、新春には新しい“ちくま”のお披露目を予定しています。(2月頃にと準備中)皆様をお待ちしています。

〔編集後記〕
 
日本財団の本多さんにお会いできなかった私は、この文を読ませていただいて悔やんでいます。お会いしたかった!ちくまについてとても素敵に書いてくださっていますが、実は本多さんがとても素敵な方なんだと思います。つまり日本財団もそんなところなんだと、再確認しました。協働させていただけて光栄です。(京)

 何かと忙しい中にもかかわらず、石けん担当の秀香さん達、ただいま「ちくまの手作り石けん」の新商品を開発しています。来年にはご案内できるかも。ご期待ください。(み)


支援会員 年間 2,000円

賛助会員 年間 5,000円


移動サポート賛助会員

 (個人)年間 5,000円

 (企業)年間 10,000円

各会員の方々には「こちら“ちくま”」やさまざまなご案内をお送りします。

郵便振込口座:00520−6−22266

口座名義:筑摩工芸研究所

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