通信紙

こちら“ちくま”

2000年第2号 通巻18号
 
 発行人 新井俊雄
 編集人 大下京子 宮沢敬子
 発行所 筑摩工芸研究所
 〒399-0001 長野県松本市宮田8-22
 tel. 0263-26-6330 fax. 0263-26-6047

NPO」のこと・3 ―知ってることは力になる・13―
 たていわ しんや(信州大学医療技術短期大学部助教授)

他町村からの通所者について
 共同作業所パノラマ所長 宮越 洋介
自分の職場は選びたい
 野田 瑞穂
バザーの季節
 


新人登場

 <ありがとうございます>
 <お待たせしています>
 <張り切っています>
ちくまの日記
編集後記



「NPO」のこと・3

―知ってることは力になる・13―

たていわ しんや(信州大学医療技術短期大学部助教授)

 長くなってますね。NPOについて3回目です。やはり先立つものは、の「お金」のことについて、少し考えてみます。今回は「公的なお金」の方です。

 NPOはボランティア団体を含むけれど、それと同じではないことはもう書きました。それにボランティア団体だって、なにかを無償で提供するその活動を維持・発展させるためにお金がいることはあります。お金がないと活動できない、お金が(たくさん)あった方が活動がより有効にできることはあります。ここまでは認めてもらえると思います。
 次に民間団体なのだから、基本的には、資金も民間から得るのが「本筋」だという考え方があるけれども、それはちがうと思います。「行政のお金」(ではなくて、行政が出し入れに関わる仕事を担当しているお金、ですが)を使うということは、「税金」を使うということです。税金は、出したくない人も義務として出さなくてはならないお金です(公的な保険の「保険料」にもそういう性格があります)。つまり、負担できる人が義務として負担すべき対象が、税金を使うべき対象です。私はそんなことに金を出したくないと言えばそれまでなのが「寄付」です。出したくなくても出すべきものが税金です。だから問題は、義務の履行を強制してよいその義務とは何かという問題です。こうやって考えていくと、そんなことに税金使ってよいのかということがけっこうたくさんあるように私は思います。他方、自分の稼ぎでは生活するのに足りない、障害があったりして人より余計にお金がかかるといった場合に、その人が生活するに足るだけの負担をすることは、人の、社会の義務であり、それは税金使って当然、税金払わせて当然と考えます。

ただ、その生活を支える仕事自体は、役所がやるより民間がやる方がよい場合が、かなりたくさん、ある。だから、民間(の必ずしも非営利に限らない)組織が提供するサービスに税金使っても問題はないし、むしろ積極的にそうすべき場合がある、こういうことになります。

 ただ問題はさらにあります。今のところ、「公的なお金」は多くの場合、「事業委託」というかたちで民間団体に流れます(あるいは「措置制度」における「措置費」の支給)。そうすると、サービスを利用する人たちにとって必要な仕事、サービスを受けたい組織にお金が流れるとは限らないことになります。そしてそういう仕事を委託された(受託した)組織は、そのお金が役所から来る限り、役所のことは気にしても、お客さん=利用者のことは気にしなくてよい、ということになりがちです。

 そこで、そのために迷惑を被ってきた利用者・障害者たちの運動の中で主張されたのが、税金を使いながら、しかしそのお金を使ってどこから、誰から、どういうサービスを受けるかは、本人が決められるようにしたらよいということでした。この連載の第2回に書いた「自分が選んだ人をヘルパーにする」という「自薦登録ヘルパー制度」というのもそういうシステムです。(ところで、昨年12月の障害者週間のシンポジウム「この街が好き〜自立生活奮闘中〜」で、「日本一の福祉都市」をめざす(市長挨拶)松本市の担当者が来年度(つまり今年度)実施を明言したこのシステムの実施は、どうなっているんでしょう?)私は、できる限り、そういう方式でやっていくのがよいと考えます。自分のお金を使う時には、自分の選んだお店で自分の好みのものを買ってよいのに、そうでない時にはいけないという理由はないのですから。介護保険にしても、一つの大手企業が仕事を独占するというより、いろいろなところが参入した方がよいと思います。また、前回「特定非営利活動法人」のことを紹介しましたが、長野県内でもこの法人格をとったあるいはとろうしている組織の中に介護保険の事業を行おうとしている組織がいくつもあります。それらが今後どういう仕事をしていくか、注目されるところです。

ただ、組織にお金をおろさざるをえず、そしてその組織は一つだけ、ということは今のところの現実の中では、そして仕事の性格によっては、なかなかなくせないところがあり、そこには、先に記したような危険、つまり利用者のことを気にしない仕事、田仁お金を使った方が有効だと思えるような事業、お客さんに歓迎されない組織が続いてしまう危険性が残ります。だから、そういう場合にこそ、どういう組織に仕事をやってもらうのかが大切になりますし、選ばれた組織の側は、どういうふうに仕事をやっていくかについて常に自覚的にならないといけないのです。

 既に本誌で紹介があったように、この連載の第4回でも取り上げた「市町村障害者生活支援事業」が、昨年秋から松本市でも始まりました。「松本市障害者自立支援センター・ぴあねっと21」が事業を委託されています。どういう組織にという点では、少なくとも既存の大きな組織に「丸投げ」とはならず、とくに障害をもつ本人、そのさらにいろんな人がいろんなことを主張し、その中から出きてきた組織が行なうことになったことは評価されてよいでしょう。この組織がこれから、「行政からの委託事業ってなんかたるいんだよね」「役所仕事とおんなじ、親方日の丸」というような、今まで言われてきた悪口を言われず、民間であることをどう生かしてやっていくのか。事業が始まって半年、そろそろ「試運転です」とは言えなくなってきて、これからが正念場です。以上のようなことも含め、「介助(介護)」について『現代思想』(青土社)3月号からの連載(6月号で終わる予定)「遠離・遭遇──介助について」で書いています。よろしかったらどうぞ。次回は「民間にある資源(お金・人)」の話、のつもりです。
(たていわしんや 信州大学医療技術短期大学部助教授)

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他町村からの通所者について

作業所パノラマの事例

共同作業所パノラマ所長 宮越洋介

 「作業所パノラマ」は、「松本市手をつなぐ親の会」の経営する作業所です。

 平成10年に開所して3年目を迎え、だんだん作業所らしくはなってきましたが、いろいろ問題もあります。いちばんは建物(借家)とお金の問題です。財政的な基礎ができていないので、古い民家の改修や増築費用、メンバーやスタッフに支払う賃金のやりくり等に追われ、月末になるとその算段に苦労します。

 不況の影響もあってか喫茶の収入や自主製品の売上げは伸びず、年間予算の約6割を国や県、市からの補助金に頼っている現状です。

 通所者12名の内、2名は他町村からの通所者です。K君は豊科から、Yさんは三郷から大糸線に乗り、毎日元気に通所してきます。2人とも喫茶の仕事が気に入っており、仲間もできているので、他の職場や作業所に行く気持ちはないようです。地域の職場をすすめてみましたが、今までのしがらみもあり駄目でした。

 この2人は市外からの通所者であるため補助金の対象外であり、作業所の負担となっている現状です。毎日はりきって作業に取り組む姿を見ながら、この2人にも補助金がついたらなあ、という願いは切実です。
あまり公費補助に頼らず、経営面で自立できれば最高ですが、現在の民間作業所の実態ではとても無理なことだと思います。

 障害者の地域での生活を総合的に支援するための地域福祉を考えた時、地域の範囲を広域的にとらえ、市町村が連携して利用者のニーズに応えていただければという願いを強くもつ次第です。


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「自分の職場は選びたい」

遠距離通所者の受け入れ

野田 瑞穂

 現在、「ちくま共同作業所」に通所している所員の中で、市外からの通所者は5名います。三郷村・大町・豊科町・塩尻市からはるばる電車やバスで通所しています。

 それぞれの所員との出逢いはさまざまで、学校の実習で「ちくま」に来てそのまま通所するようになったり、木彫りをしたいとの希望でとか、福祉課の紹介で通所するようになった人もいます。また、もともとは松本市内から通っていたのに、家の引越しで市外になってしまった人もいます。

 「共同作業所パノラマ」も、ずいぶん前から、松本市中央図書館の3階にある「喫茶パノラマ」を運営してきました。「手をつなぐ親の会」の皆さんがその運営にあたり、2年前に共同作業所を開所されました。松本市内だけでも、最近いろいろな運営母体のもとに、作業所が開所しています。
「ちくま」に市外から通所している人たちの家の近くにも、作業所は増えてきています。

なんで近くの作業所に通わないの?
確かに、その方が通勤費もかからないし、朝早く家を出なくてもいいし、親御さんたちの送迎も楽になります。しかし、しかしです。これを自分の身に置き換えてみると、近い遠いだけで職場を選んでいるでしょうか。


 長野県の単独事業で、「障害者等共同作業訓練施設補助事業」というのがあり、現在各作業所に補助金が支給されています。県・市から2分の1ずつ、松本市は市単独で、さらに市負担分の4分の1を上乗せして支給しています。ただし、松本市内の通所者の分だけです。市外からの通所者に対する補助は、当該市町村のどこからも出ていません。

 1999年度は、「ちくま」には8,535,000円の補助金が支給されました。現在は、約20人の通所者と7人の常勤スタッフがいますが、補助金だけではとても追いつかない状況です。利用者の賃金・スタッフの給料・車両費・水道光熱費・維持費などなどを考えると、たりないお金は収益事業で補うことになります。そこで、石けんを作ったり、あちこちのバザーに出たりということになります。
長野県も広域行政が始まりました。介護保険の動きも広域での対応があります。今後、こういった部分も広域での対応が望まれます。

 自分の居場所を自分で選び、望んだところで働く。実際に「ちくま」であった例です。
ある日、某養護学校の進路指導の先生から電話をいただきました。

先 生: 以前実習で伺ったM君のことですが、先日進路相談のときに、どういう所で働きたいか聞いたところ、『僕は、働く所は「ちくま」に決まっているよ。』というのですが、本当にそうなのでしょうか?
ちくま: M君は知っていますが、その話ははじめて聞きました。でも、本人が決めたんならそうでしょう。

M君は現在も「ちくま」で働いています。


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バザーの季節


 「ちくま」ではこれからの季節、各地のイベント等のバザーに参加させていただきます。「ちくまの石けん」はもちろん、地球に・人にやさしい品々を商いさせていただきます。散歩がてら、遊びがてら、お立ち寄りください。6月、7月も各地で参加します。


5月21日〔火〕

お花まつり

松本仏教和合会主催
松本市市民会館にて

5月14日(日)

いのちの祭り2000
神宮寺 

いのちの祭り2000タ・カ・ボッチ
実行委員会主催
神宮寺(浅間温泉)にて

雨天決行 
AM9:00〜15:00ころ

恒例の行事に参加させていただいてます。
■模擬店

■子供向けの劇
■婦人会リサイクルバザー

可愛らしい稚児行列がありますよ。

雨天決行      
AM10:00〜17:00ころ


■LOVE&PEACE LIVE          
■ネイチャーアート展示
■ヨガ ワークショップ

■神宮寺・友引フリーマーケット

今回より毎回、友引の日の日曜日にお寺で開くフリーマーケットです。「ちくま」のブースにもお立ち寄りください。

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新 人 登 場

よろしくお願いいたします 

百瀬明子(ももせあきこ)

 ミレニアムの今年、新装開店予定の縄手のお店「むすびやちくま」(昼の部)を担当することになりました。お話をいただいてからは、責任の大きさに自分に出来るのか?やっていかれるのか?という事への戸惑いもありました。おまけに料理の経験も浅く、考え出したらキリがないほどの不安や問題点が多くあります。問題だらけのスタートになりそうですが、周りの皆様の応援を励みに、不安をバネにして、開店に臨みたいと思っています。これからは大変お世話になると思います。その中で"おむすび"だけでは なくいろいろな縁もむすべたらいいなと思っています。


林 秀香(はやしひでか)

 初めまして! 元"ガン黒娘"です。「ちくま」に来て実は地黒だったとわかった。最近は地味になり、今時のギャルの服が恥ずかしくて着られなくなった自分が不思議です。「ちくま」という所は、それぞれ個性の強い人が多く違うモノを持っているため、私にとって勉強になる事ばかりです。「ちくま」はどんな所なのか、それを知っていきたいという気持ちにさせてくれた。私の思っていた作業所と違っていたこの場所で、これから急がずゆっくりと勉強していきたいと思います。こんなまだお子様な私ですが、皆様どうか優しく見守ってください。


植田直子(うえだなおこ)

 初めましてこんにちは。香川県から来ました「1年間ボランティア365」植田直子と申します。1年間「ちくま」でお世話になることになりました。「ちくま」をはじめたくさんの方々と出逢い、お話をしていろいろなことを教わりたいと思っております。信州そば、りんご、わさび、アルプス、お城など有名なものがたくさんの長野県。まずは信州そばから始め、心身ともに長野県をたっぷりと感じ、極めていきたいと思っております。分からないことばかり、たくさんご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。


<ありがとうございます>

 『市民タイムス』の「思いやりBOX」から20万円のご寄付をいただきました。
「富士電機労働組合」より8万円相当の物品をいただきました。

地元の皆さまからこうしたご厚意に、松本に「ちくま」が根付いたなぁと思えてうれしいです。一方、今号で、行政には相変わらず「見て見ぬ行政」を感じます。それとも他市町村へ行ったほうが費用がかからない……皮肉かな? (新井)


<お待たせしています>

昼は むすびやちくま

夜は 
微酔処(ほろよいどころ)ちくま

松本市縄手通りに再開準備中の「ちくまの店」の名前がきまりました。商店街改修工事の遅れにより7月にオープンの予定です。担当スタッフは皆さんに喜んでいただけるお店になるように勉強しています。おたのしみに。


<張り切っています>

 作業所が手狭なためプレハブをおきました。作業所の仕事「アスパックの袋詰め」の保管場所として使用しています。このところ仕事量が少なかったのですが、4月中頃より新しく「ダンボールの組み立て」の仕事が入りました。本来なら手狭だったところ保管場所ができたおかげで、車椅子でも動きやすくなりました。よかった。

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ちくまの日記


2月15日

ナワテ商店街新店舗の地鎮祭。

18日

ナイスハートバザールin松本に出店。〜20日。
(主催:長野県セルプセンター、会場:ジャスコ南松本店)

21日

一年間ボランティアの甘利紀子、任期終了。総括研修(22〜28日)へ。3月には復帰して、月末まで手伝ってくれる予定。

25日

前々々一年間ボランティアだった池田由希子、ボーイフレンドとともに来所。

26日

富士電機労組様より、精米機ほかのご寄贈をいただきました。ありがとうございました。「何がほしいか?」と聞いてくださった今回のご厚志。現場へのご理解が深いのを感じました。

3月7日

一年間ボランティア甘利、研修を終え、晴れて(?)自由の身になりながら、「もう少し……」と復帰。これは例年、「お礼奉公」と称されています。

9日

月末には引き上げる予定の甘利から、故郷(山梨)名物「ほうとう」がふるまわれました。美味しい思いした面々の頭のなかは共通して……(来年度は香川県出身だから"讃岐うどん"だ!)

14日

Kさん親子見学のため来所。

23日

なんなんひろば利用者の会出席。

27日

元スタッフ、チョビこと高橋由紀子さんの結婚式。岐阜県に嫁ぐチョビをお祝いするため、スタッフ及び関係者の大移動。雪の壁、ツルツルの道路を会場へ向かいました。あのチョビが文金高島田にドレス。でも可愛かったですよ。

29日

市民タイムス「思いやりBOX」より、ちくま共同作業所に20万円いただきました。ありがとうございました。

4月1日

新しいスタッフが入る、百瀬明子、林秀香。

5日

ナワテ新店舗上棟式打ち合わせ。

6日

なんなんひろば利用者の会出席。

9日

神宮寺様のお花まつり合同法要でバザーをさせていただきました。

11日

作業所に新しい仕事をもらえることになり、その打ち合せ。

12日

3月末で帰郷予定だった甘利は、あまりの忙しさを見るに見かねて(?)まだいたんです。で、14日で本当に帰るので送別会。作業所のみんなで「ちらし寿司」を食べました。もちろん手作り。

13日

新井代表、ナワテ新店舗上棟式に向け、棟板を書く。

16日

ナワテ上棟式。

17日

なんなんひろば利用者の会出席。

21日

ぴあねっと21主催の「介助者養成認定講座」に4人参加。

22日

石けん工場見学(長野吉田小学校、臼田先生)

25日

今年度一年間ボランティア、植田直子着任。(社)日本青年奉仕協会派遣。

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〔編集後記〕
 
自立支援センターちくまを始めて4年目、また私が「ぴあねっと21」も兼務して半年が過ぎ、投げかけるだけだった「自立」という意識が、当事者の具体的言動に出てくるようになりました。これからです。(京)
高齢化(!?)してきたスタッフに新人が入り、平均年齢がグーンと、5.4才も若返りました。どうぞよろしくお願いいたします。     (み)


支援会員 年間 2,000円

賛助会員 年間 5,000円


移動サポート賛助会員

 (個人)年間 5,000円

 (企業)年間 10,000円

各会員の方には『こちら“ちくま”』やさまざまなご案内をお送りします。

郵便振替口座a@00520−6−22266
口 座 名 義 筑摩工芸研究所

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